

いにしえより、縁結びの聖地と言われている出雲。
出雲は、神話の里としても有名で、「古事記」や「日本書紀」で、
神々にまつわる記述の三分の一が出雲神話と言われています。
出雲神話の中でも特に「ヤマタノオロチ」「因幡の素兎(いなばのしろうさぎ)」は
ご存じの方も多いかと思います。
「ヤマタノオロチ」は、スサノオノミコトがオロチを退治するお話しで、
「因幡の素兎」はオオクニヌシノミコトが、赤裸にされた兎を助けるお話しですが、
ちょっと、角度を変えてみると、神話の中には、男女のご縁あり。
「ヤマタノオロチ」はスサノオとクシイナダヒメが、「因幡の素兎」はオオクニヌシとヤカミヒメが出会い、のちに結ばれていくキッカケとなるお話しです。
しかし、結ばれるまでは、幾多の困難に直面し、克服しているのです。
神様といえど、本物のご縁は、そうやすやすとは手に入らない事、
また、誰と出会い、誰と生きて行くかで人生は変わっていくことを、
出雲神話は教えてくれているのかも知れません。
幾多の苦難を乗り越えて、オオクニヌシは、出雲を中心とした豊かな国をつくりあげていくと、
これを天上界から見たアマテラスオオミカミが、国を譲るようにと、使者を派遣してきました。
国を譲る代わりに、ある条件を出したオオクニヌシ。
「私の住かとして、壮大な宮殿を立てていただきたい。
そうすれば、私が納めている現実の世界は高天原の大神の子孫に譲り、自分は神事(かみごと)を治めましょう」
その壮大な宮殿が、出雲大社ではないかと言われています。
そして、目には見えない神々の世界を治めることになったオオクニヌシの元へ、
毎年10月には、全国から八百万の神々がお集まりになって、人々の縁組みについての相談をされることから、出雲は縁結びの聖地と言われるようになりました。
また、出雲の二つの遺跡から、弥生時代の青銅器が大量に見つかっています。
以前は、弥生文化は、近畿と九州が中心と考えられていましたが、この大量出土から、出雲にはかなりの力を持つ集団がいて、独特の文化を持っていたのではないかと考えられています。
神話や歴史をさかのぼっていくと、出雲はたいへん栄えていた地域でした。
現在は、とても静かな地、
まぁ、田舎で何もない所と思われがちな地域です。
国引き神話では、島根半島は神様が、
余った土地を引っ張ってきて国を広げたという話があります。
その島根半島は、日本海側でありながら、とても穏やかで、災害も少ない地域です。
オオクニヌシが、目には見えない神々の世界を治めたことからも、
出雲の地は、神々が守ってくださっている土地であり、
心を豊かにするには、最高の地といっても過言ではない気がします。